SKIN COLUMNS

肌コラム

紫外線による肌への影響とは?UVケアの重要性について【医師監修】

一年を通して、地上に降り注ぐ「紫外線」。

紫外線を浴びると“日焼けをしてしまう”というイメージが一般的ですが、紫外線を浴び続けることで肌へのダメージが蓄積し、老化のスピードを早めてしまうことは知っていますか?

この記事では、紫外線についての基礎的な知識をはじめ、紫外線の予防法や、もし紫外線を浴びてしまった時の対応法まで、詳しく解説します。

Contents
  1. 紫外線とは
  2. 地上に届く紫外線の種類
  3. 紫外線による私たちへの影響
  4. 紫外線量の変化について
  5. 紫外線から肌を守る方法
  6. 紫外線を浴びてしまった時のケア方法

この記事は(たいら)広之(ひろゆき)医師が監修しました

医療法人社団豊饒会理事長・RDクリニック東京銀座 院長

形成外科学会専門医
1987年筑波大学医学専門学群卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部付属八王子病院 形成外科医長を経て、2023年医療法人社団豊饒会理事長・RDクリニック東京銀座 院長に就任。

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紫外線とは

紫外線とは、地上に届く太陽の光の一種で、目に見えず、しかし強いエネルギーを持ち、物質や生物に影響を与える電磁波のことをいいます。

太陽が放つエネルギーについて

太陽から放たれるエネルギーのことを「太陽放射(たいようほうしゃ)」または「日射(にっしゃ)」といいます。太陽放射にはガンマ線やエックス線などの放射線も含まれますが、そのほとんどが太陽光と呼ばれる電磁波です。

太陽光とは、太陽光線、日光とも呼ばれる、太陽が放つ光のことをいいます。

太陽光の種類と地上に届く光

太陽光は波長によって、大きく「紫外線(しがいせん)」「可視光線(かしこうせん)」「赤外線(せきがいせん)」の3つに分類されます。太陽光の中でも、私たちが日常で明かりとして目にすることができるのはこのうちの「可視光線」だけで、紫外線や赤外線は目で見ることはできません。

地上に届く紫外線の種類

太陽光のうちのひとつである紫外線は、波長によって「A波(UV-A)」「B波(UV-B)」「C波(UV-C)」に分類されています。このうち、紫外線C波(UV-C)はオゾン層で守られている地表には到達しないとされています。

ここでは、地上に届く紫外線である、A波(UV-A)B波(UV-B)について解説します。

肌の奥まで届き光老化を引き起こす、紫外線A波(UV-A)

紫外線A波(UV-A)はオゾン層を通り抜けやすく、常にB波(UV-B)の20倍以上も地上に降り注いでいるといわれています。紫外線A波(UV-A)は通称「生活紫外線」とも言われ、雲や窓ガラスも通り抜けやすい性質を持つため、曇りの日や日の当たる室内でも注意が必要です。

紫外線A波(UV-A)は、肌が赤くなる急激な日焼けを引き起こすB波(UV-B)とは違い、一見すると肌への影響は少ないように思えます。しかし、A波(UV-A)は波長が長いため肌の奥深くまで到達し、少しずつじわじわと肌に対して悪影響を及ぼします。

UV-Aの肌への影響

紫外線A波(UV-A)は肌に急激な障害を与えることは多くありませんが、少しずつ肌へ蓄積的なダメージを与える紫外線です。例えば、皮膚のコラーゲンを変性させてシワやたるみの原因となったり、紫外線が肌の奥深くまで到達し防衛反応としてメラノサイト(色素細胞)が刺激され、メラニンの生成を促し、肌が黒くなるといったことが起こります。

UV-Aが肌の奥深くまで到達し、ダメージが蓄積することによってシワやたるみなどの老化症状が起こることを「光老化(ひかりろうか)」ともいいます。

肌を赤くしシミを作る、紫外線B波(UV-B)

紫外線B波(UV-B)はA波(UV-A)に比べて波長が短く、オゾン層や雲などに阻害され、地上へ届く量としては全紫外線のうち約10%ほどと、そこまで多くはありません。また、肌の奥深くまでは到達しないといわれています。しかし、エネルギーが強く、肌の表面の細胞にダメージを与えて炎症を引き起こします。皮膚の表面に強く作用することが特徴です。日焼けをした皮膚が赤くなったりヒリヒリするのは、紫外線B波(UV-B)の影響です。

また、紫外線B波(UV-B)は、浴びることで皮膚の中でビタミンDが生成されるという良い作用もあります。ただしビタミンDを生成するために1日に必要な日光照射時間は、夏であれば15〜30分程度と、さほど長い時間ではありません。また、きのこ類や脂身の魚類などを食べることでもビタミンDを体内に取り入れることができるため、肌への影響が大きいことを考えると、ビタミンDのために直射日光を浴びるということはあまりせず、紫外線対策はしっかりと行うことをおすすめします。

UV-Bの肌への影響

紫外線B波(UV-B)は通称「レジャー紫外線」ともいわれ、長時間日光を浴びることで皮膚が真っ赤になり水ぶくれができるなど、やけどのような状態を引き起こします。急激な日焼けが生じるだけでなく、皮膚癌やシミの原因になるなど、生体への影響が強い紫外線です。

紫外線の種類についてのまとめ

種類 波長 特徴
紫外線A波(UV-A) 315~400nm 肌の奥へ到達しじわじわと蓄積的なダメージを与え、シワやたるみなどの光老化を引き起こす
紫外線B波(UV-B) 280~315nm 肌の表面のみに急激なダメージを与え、皮膚を赤くしたり、皮膚癌やシミの原因にもなる。ただし、ビタミンDの生成にも使われる
紫外線C波(UV-C) 200~280nm オゾン層で遮られ地上には届かないが、強い殺菌作用を持ち生体に悪影響を及ぼす

紫外線による私たちへの影響

紫外線を浴びることで生じる人体への影響は、主に皮膚と眼に起こります。ここでは、紫外線による皮膚への影響について解説します。

紫外線による肌(皮膚)への影響

紫外線を浴びることで生じる肌(皮膚)への影響には、様々なものがあります。

日焼けなどの「急性傷害」

紫外線を浴びるとすぐに皮膚に生じる炎症に“日焼け”があります。日焼けには、実は「サンバーン(sunburn)」と「サンタン(suntan)」の2つがあります。

サンバーン(sunburn)は紫外線による皮膚のやけどで、主に紫外線B波(UV-B)の影響で生じます。直射日光にさらされた後、皮膚が赤くなってヒリヒリとしたり、水ぶくれになる状態がサンバーンです。

サンタン(suntan)はサンバーンが起きた結果生じる、メラニンの増加です。サンバーンの炎症反応によって、紫外線による悪影響から皮膚を守ろうとして、メラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)が刺激され、メラニンを大量に作り、日焼けした後に皮膚が黒くなるのがサンタンです。

また、日焼け以外の紫外線によって生じる急性障害として、口の周りの単純ヘルペスが再発することもあります。

肌のタイプによる紫外線の影響の受け方

同じ日に同じ量の紫外線を浴びても、その影響の受け方には個人差があります。これは、人の肌がいくつかのタイプに分かれており、紫外線に対する感受性に違いがあるからです。肌のタイプは以下の6つに分けられており、日本人の多くはこの中の2~4に該当すると考えられます。

  • すぐにかなり赤くなるが、黒くならない
  • すぐに赤くなり、その後に少し黒くなる
  • 時に赤くなり、ある程度は黒くなる
  • ほとんど赤くならないが、黒くなる
  • ほぼ赤くならない(もともと肌色が褐色である)
  • 赤くならない(もともと肌色が黒褐色~黒色である)

この肌のタイプは、生まれ持ったメラニン色素の量によって決まります。

メラニン色素は、単に肌を黒くしてしまうというマイナス要素だけではなく、紫外線から肌を守る大切な役割を担っています。生まれつきメラニン色素が多い人ほど肌の色が黒く、紫外線に対する抵抗力が高いといえます。逆に、生まれつきメラニン色素が少ない人は、肌が白く、紫外線のダメージを受けやすいといえます。紫外線を浴びても肌が黒くならない人は、肌が黒くなる人に比べ、蓄積的なダメージによってシワやたるみなどの光老化を引き起こしやすいため、より注意が必要だといえます。

また、生まれつき比較的肌が黒い人でも、紫外線対策をしなくても良いというわけではありません。肌のタイプに関わらず、紫外線の影響で皮膚がんを引き起こすなどの悪影響を避けるために、UV対策を習慣づけることをおすすめします。

光老化などの「慢性傷害」

長い期間、紫外線を浴び続けることによって皮膚にシミやシワが生じたり、肌の弾力の低下などの老化現象が起き、さらには良性(脂漏性角化症)・悪性(皮膚がん)の腫瘍を誘発してしまうこともあります。紫外線を浴び続けることで老化現象などが生じることを“光老化(ひかりろうか)とも言い、主に紫外線A波(UV-A)の影響で起こります。

光老化は紫外線による慢性障害の結果です。加齢による老化とは異なり、適切なUVケアを続けることで防ぐことができるものなのです。

紫外線による色素沈着

紫外線を浴びて受けるダメージによってメラノサイト(色素細胞)が刺激され、皮膚を守るためにメラニン色素が生成されます。生成されたメラニン色素は表皮からまわりの皮膚へ広がり、紫外線を吸収して皮膚を守るのです。しかし、強い紫外線を浴びるとメラニン色素が過剰に生成されてしまうことがあります。それがシミやそばかすなどの色素沈着の原因となるのです。

紫外線量の変化について

地上に降り注ぐ紫外線の量は、季節や天候、場所や時間帯によっても変化します。

そもそも、紫外線量とは?

環境省の『紫外線環境保健マニュアル2020』によると、以下のように定義されています。

“紫外線の強さ”ד紫外線を浴びる時間”=紫外線量

つまり、弱い紫外線でも長時間浴び続けてしまうと、強い紫外線を浴びた時と同じとなることもありますので、気を付ける必要があります。

1日においての紫外線量の変化

太陽が地上を照らしている間は、常に紫外線が降り注いでいます。紫外線の量は日の出以降、午前7時頃から増え始め、午前9時頃から急増します。

1日の中で最も紫外線量が多いのは、午前10時~午後2時頃だといわれています。この時間帯は、特に念入りなUVケアが必要不可欠です。ただし、日差しの弱まる朝方や夕方でも紫外線A波(UV-A)の量は大きく変化しません。そのため時間帯に関わらず、外が明るい時間帯は、常に紫外線から身を守ることが大切です。

天候による紫外線量の変化

天候によっても紫外線の量は変化します。曇りや雨の日は、ついUVケアを怠ってしまうことがありますが、実は、晴天の日の紫外線量を100%とすると、曇りの日はおよそ65%雨の日でもおよそ20%もの紫外線が降り注いでいます。天候に関わらず、日中はUVケアを行うことを習慣づけるとよいでしょう。

季節による紫外線量の変化

紫外線は日差しの強い夏だけに限らず、一年を通して地上に降り注いでいます。ただし、その量は季節によって変化をしています。また、紫外線A波(UV-A)とB波(UV-B)においても、それぞれ季節による変化量に違いがあります。

日本の季節では、6月から8月にかけて最も紫外線が強くなります

紫外線B波(UV-B)は春から夏にかけてピークを迎え、冬には夏のおよそ5分の1ほどの量になります。ただし紫外線A波(UV-A)は冬になっても、夏の2分の1程度とUV-Bに比べ変動量が少ないです。じわじわと皮膚の老化スピードを早めてしまうことのないよう、秋・冬でもUVケアを行うことをおすすめします。

場所による紫外線量の変化

同じ季節や天候・時間帯でも、場所によって紫外線の量は変化します。

同じ地球上でも、赤道により近い場所や、山の上など高い場所に行くほど紫外線は強くなります。また、地表の状態によっては紫外線が反射し、影響が強まることがあります。新雪は約80%、砂浜は約25%の紫外線を反射しますので、夏の浜辺や冬の雪山ではUVケアを念入りに行いましょう。

紫外線から肌を守る方法

紫外線を浴びてダメージを受けてしまうと、後からどんなにケアをしても、受けたダメージを無かったことにすることはできません。紫外線から皮膚を守れるよう、紫外線を浴びる前にしっかりと対策をしておくことが大切です。

紫外線の強い時間帯は屋外活動を避ける

UVケアを最重視するならば、可能であれば紫外線の強い日中、とくに午前10時~午後2時頃は屋外での活動はなるべく避けるとよいでしょう。

日陰を活用する

日の当たる時間帯に外に出なければならない場合は、選べるのであれば建物の日陰、屋根のある場所や地下道などを活用し、なるべく直射日光を避けるとよいでしょう。ただし、紫外線は直射日光だけでなく空気中で散乱したものや、地面や建物から反射することでも私たちの皮膚などに影響します。紫外線が降り注いでいる時間帯においては、たとえ日陰を活用しても、紫外線の影響をゼロにすることはできないことを覚えておきましょう。

衣服や日傘、サングラスや帽子などのアイテムでガードする

遮光性のある衣服や日傘、サングラスや帽子などのアイテムを身に着けて紫外線から身を守るのもよいでしょう。

ただし、身体を覆う部分が大きい衣服は、夏場の暑い時期に着用すると熱中症を起こしてしまう危険性もあります。通気性や吸水性のバランスが取れたものを選ぶなど、季節や天候に応じて無理のない範囲で選びましょう。

また、日傘や帽子などのアイテムを身に着けることでも、直射日光はガードできますが、地面からの照り返しや、空気中に散乱している紫外線までを防ぐことはできません。

日焼け止めを活用する

日陰を活用したり、日傘などのアイテムで直射日光を避けても、空気中に散乱している紫外線の影響から逃れることはできません。とくに肌の露出している部分には日焼け止めを活用するのがよいでしょう。

日焼け止めの効果や特徴は、商品によって異なります。商品のパッケージなどに記載されている説明をよく読んで使用することをおすすめします。

日焼け止めの種類や強さは、使用するシーンによって選ぶとよいでしょう。春・夏などの紫外線の強い時期の昼間に外出をする際には高い効果を持つものを、海やプールに入ったり屋外スポーツなどのレジャーシーンでは、汗や水に強いウォータープルーフタイプを選びましょう。日常で少しベランダに出たり、室内で過ごす場合には、それほど効果が強いものでなくても良いでしょう。

紫外線を浴びてしまった時のケア方法

紫外線を浴びることで受けたダメージは、残念ながら後からケアをしても、打ち消すことはできません。しかし、紫外線による日焼けなどでヒリヒリしてしまったお肌を労わることはできます。ここでは、紫外線を浴びて日焼けをしてしまった時のお肌のケア方法について解説します。

日焼けした皮膚をしっかりと冷やす

紫外線を浴びて日焼けをしてしまった皮膚は、軽いやけどをした時と同じような状態になっています。まずは、日焼けした部分をしっかりと冷やしてあげましょう。冷たい水で濡らしたやわらかいタオルを当てたり、タオルの上から氷や保冷剤を当てると良いでしょう。強いシャワーを急に当てたり、氷や保冷剤を直接当てることはおすすめしません。

日焼けした部分を刺激しないようにする

日焼けした部分は、紫外線によりダメージを受けて怪我をしているような状態です。日焼けをした部位をゴシゴシと擦ったり、マッサージなど刺激になる行為は避けましょう。

また、熱いお風呂への入浴は避け、ぬるめのシャワーで済ますのがおすすめです。衣服も肌への刺激が少ないものを選ぶとよいでしょう。

しっかりと水分補給を行う

日焼けをして皮膚がダメージを受けると、乾燥しやすくなるだけでなく、表皮の機能が低下し水分が失われやすくなります。ただし、ダメージを受けた状態の肌に普段の保湿ケアを行うと、ピリピリしたり肌トラブルが生じてしまう可能性もあります。日焼けをして皮膚に赤みがある時は、こまめな水分補給を行い、身体の内側から保湿ケアを行いましょう。

皮膚の赤みが落ち着いてから、乳液やクリームなどで皮膚の保湿を行うことをおすすめします。

休息をしっかりと取る

日焼けをしてダメージを受けてしまった後は、しっかりと休息を取ることも重要です。睡眠時間をしっかりと確保し、身体をゆっくり休めることで細胞の修復がスムーズに行われます。

は、
2005年に日本で初めて誕生した
「肌の再生医療」専門クリニックです。

はだ再生医療さいせいいりょうとは?

肌の“真皮”部分にある「肌細胞(真皮線維芽細胞)」を移植して増やすことで、老化症状が起こる前の肌本来の状態に戻す治療です。

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お肌のお悩みについてのご相談もよろこんでお受けいたします。お気軽にご相談にいらしてください。

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